「真」シリーズ3作目、果たして

都市伝説を題材にしたホラーノベルゲームである「流行り神」シリーズ。いわゆる旧シリーズ(流行り神1~3)に続き、登場人物を一新した「真」シリーズの3作目がいよいよ発売いたしました。

旧シリーズの評価は高い一方、真シリーズは賛否両論な意見がある中での3作目。……正直、発売されるとは思っていませんでした。

というのも、「真」は1も2も(方向性は違いますが)結構な問題作だったんですよね。3の感想の前に、まずはその辺りを軽く触れておきましょう。

※発売から少し経ちましたが、ネタバレ有の記事ですのでご注意ください。

「真」1~2を振り返る

グロ・スプラッター方面に特化した真1

繰り返しとなりますが、流行り神の旧シリーズは様々な「都市伝説」を題材にした和風ホラーテイストのあるノベルゲームでした。対象の都市伝説はどれも一度は聞いたことのあるような身近なもので、絵柄や音楽による独特な雰囲気も相まって、非常に高い評価をされているものです。

その一方で、登場人物やシステムを一新して発売されたのが「真」1作目でした。ただ、シナリオのテイストも大きく変化しており、「都市伝説」を謳っているものの実態はほとんどグロ要素の強いタイプの猟奇的ホラー。都市伝説という不可思議な存在にじわじわと侵蝕されるような和風ホラー感が相当に薄れてしまっていました。

個人的には、確かに旧シリーズのような「都市伝説」を期待していたユーザーから評価が低いことは理解できるものの、作品単体では悪くない、むしろ好きな部類でした。「かまいたちの夜」に対する「かまいたちの夜2」のような、『これはこれでいいんじゃない?』というように思えるのであれば楽しめる作品だったかと。

ただし、前述のとおりグロ描写はシリーズでも群を抜いていると思いますので、その辺りが楽しめるかどうか、でしょうか。

原点回帰を図った真2、しかし……

さて、そんな意見の影響を受けてか、真2は旧シリーズに近い作品となりました。章立てのシナリオ構成や科学/オカルトルートの分岐など、システム面は実質ほぼ旧シリーズと同じ作りとなっています。そのせいで真1だけ浮いてしまいましたが。

ただ、真2の問題は、やはりシナリオでしょうか。都市伝説を題材にする方針に戻ったまでは良いものの、さすがにあのストーリーは……。

唯一、2話目は(旧シリーズを含めても)かなり楽しめましたが、他の話がちょっとアレ過ぎで正直厳しかったです。特に1話目。ホラーは時にコメディチックになってしまうこともありますが、あれはもう完全にギャグ。

その影響なのかは不明ですが、真2は売り上げが芳しくなかったらしく、真3の製作はかなり難しいのかと思っていました。

……ということもあり、真3の発売はシリーズファンとしては念願叶ってではあったものの、期待以上に不安が強かったのでした。

真3の感想

システム面は従来通り

まずシステム・構成については、旧シリーズおよび真2と同様、章立て/ルート分岐の仕組みとなっています。流行り神といえばこれ、という感じですね。

この構成については文句がない……ところですが、ルート分岐は本当に必要なのか? と思うことも。この辺りはシナリオに関する内容なので後述。

ノベルゲームとしての機能には特に問題なしかと思います。スキップやらバックログやらスチルやらエンディングリストやら、標準的なものは実装。まあノベルゲームを多く出しているメーカーですし。

旧シリーズに近付いたシナリオ

肝心なシナリオは、真1や真2と比較すると、旧シリーズにかなり近付いたように思えます。「都市伝説」を題材にしたホラーを感じさせる内容ですし、登場人物もキャラ立ちしており、すらすらと読み進めることができます。

また、真2では過去(真1、旧シリーズ)のお話にはあまり触れなかったのですが、真3ではかなーり過去作に触れています。真1、2はプレイ済みであることが前提、旧シリーズも極力プレイしていた方がいいですね。

少なくとも、真2のお話に加え、主人公が未だトラウマとしている「ブラインドマン事件(真1のメインシナリオ)」については概要を知っておきたいところです。

過去作との繋がり、そして今後

前作から登場している正体バレバレな「本部長」以外にも、旧シリーズの面々が登場するのは熱い展開です。真1の際はリブートかと思いましたが、ここまで来ると本当に続編という感じがします。

真3では、これでもかというほど過去作との関連が引き出されました。ブラインドマン事件と主人公のトラウマ、旧シリーズ登場人物たちの活躍、謎の巨大組織「F・O・A・F」……。

それらが絡み合い、今後迎えるであろう決戦に向けた準備を進めていく場面で、今作は終了となります。……続編の製作については期待大、ですね。

気になった点

ということで、基本的には大変楽しめた作品だったのですが、いくつか気になる点もありました。

  • 誤字脱字、結構多かったような。まあ、本筋には影響しないので別にいいのですが。
  • 科学/オカルトの分岐、必要ですかね? 科学ルートでも十分にオカルトしてますし、形骸化しているような。ひとつの事件を違う側面から見る、という意味では良いのですけど。
  • 投げっぱなしの点が何個かあった気がします。もう片方のルートで回収されるかと思いきやそのままだったり。推理モノではないので全部を全部理解する必要はないかもしれませんが、「それ回収しないの?」ってレベルのもちらほら。

他にも、ギャグにしか思えない両面宿儺さん、風呂でも眼鏡を外さない心太朗くん、人間国宝間違いなしの人形師、などのツッコミどころもありましたが……。

まとめ

発売前は不安でしたが、個人的にはかなり楽しむことができました。サブシナリオを入れてもボリュームが少な目なのが残念ですが。

今作でのエンディングを受け、間違いなく続編は発売されるかと思いますので、それまで期待して待ちたいと思います。

……それはそれとして、今作でガッツリ過去作の関わりが出たこともあるので、旧シリーズを配信とかsteamとかで出してくれませんかね?