作品概要

ジャンプ黄金期後半を支えた明治剣客浪漫、るろうに剣心。アニメ化はもちろん近年では実写映画化もヒットしたこともあり、知名度は抜群ではないだろうか。

伝説の人斬り抜刀斎・緋村剣心を中心にした人間模様や動乱を描いている人気作……という説明も不要だろう。

作中の舞台は東京や京都であるため当然熊本弁訛りはないが、もし剣心ら維新の志士や新選組などが熊本弁を喋っていたらどのようになるのだろうか。

第一幕 シーン1

まずは作中でも繰り返し登場する、本作のテーマを表しているともいえる言葉から。

原文

緋村剣心
「剣は凶器、剣術は殺人術。どんな綺麗事やお題目を口にしてもそれが真実」
緋村剣心
「けれども拙者はそんな真実よりも、薫殿の言う甘っちょろい戯れ言の方が好きでござるよ」
(C) 集英社/和月伸宏

熊本弁

緋村剣心
「剣は凶器、剣術は殺人術。どぎゃん綺麗事やお題目ば口にしたっちゃそっが真実」
緋村剣心
「ばってん拙者はそぎゃん真実よか、薫殿の言う甘っちょろい戯れ言の方が好いとうでござるばい」

ポイント

前半の「剣は凶器~」については、飛天御剣流の師匠である比古清十郎から伝えられている言葉。一方で薫殿の神谷活心流は「活人剣」、人を活かす剣術。この剣術(あるいは剣道)の考え方は、作中でも剣心や弥彦が度々触れる、重要なポイントだったりします。まずはそんなセリフを熊本弁にしてみました。

あるいは師匠や剣心が熊本人だったなら、こうなっていたかもしれません。なんとなく当時の方言って今よりも激しいイメージがありますが、もしかすると比留間兄弟や薫殿も聞き取れないんじゃ。

……あと、本当に「ござるばい」と言うのかは正直怪しい気もしています。

第一幕 シーン2

続いてその後、剣心が薫殿の引き止めに応じるシーン。流浪人を続けてきた剣心が(一旦とはいえ)神谷道場に腰を下ろすことになり、明治剣客浪漫譚が幕を開けることとなります。

原文

緋村剣心
「拙者も少し旅に疲れた。流浪人ゆえまた何時何処へ流れるかわからないが、それでよければ」
緋村剣心
「しばらく厄介になるでござるよ」
(C) 集英社/和月伸宏

熊本弁

緋村剣心
「拙者もちっと旅に疲れたばい。流浪人だけんまた何時何処へながるっかわからんばってん、そっでよかなら」
緋村剣心
「しばらく厄介になるでござるばい」

ポイント

心太(幼少期の剣心)が熊本出身だったら、こんな応じ方だったのかも。これには引き止めた薫殿もビックリ。都会っ子の剣術小町である薫にとっては、今後の共同生活が不安になるかもしれません。

これだけ訛っていたら、出身を隠そうにもモロバレな気もします。あ、こいつ九州から流れてきたんだな、って。

第百十四幕 シーン1

時系列的には上記よりも相当後ですが、京都編より剣心のライバルである斎藤一の名シーンから。

ティンベーとローチンの基本的戦法を扱う盲目の剣士・宇水を相手に、牙突零式を放って上半身を吹き飛ばした後のセリフ。

原文

斎藤一
「『惨め』だな。志々雄に戦わずして負けた時、お前は剣を捨てるべきだった。それを形だけでも取り繕おうと虚栄を張ったのがそもそもの間違い」
斎藤一
「己の信念を貫けなかった男など、死んでも生きてても惨めなものだ」
魚沼宇水
「……貴様という男は……、どこまでも容赦しない奴だ……な……」
斎藤一
「なんだ、慰めの言葉でもかけてもらいたかったのか?」
(C) 集英社/和月伸宏

熊本弁

斎藤一
「『惨め』ばい。志々雄に戦わんで負けた時、あーたは剣ば捨てるべきだったと。そっば形だけでん取り繕おうと虚栄ば張ったんがそもそも間違ごうとる」
斎藤一
「おっの信念ば貫けんかった男なんか、死んどっても生きとっても惨めなもんたい」
魚沼宇水
「……あーたという男は……、どこまっでん容赦せん奴……たい……」
斎藤一
「なんね、慰めの言葉でんかけてもらいたかったとね?」

ポイント

上半身を吹っ飛ばして磔にした後だというのに、冷酷だなぁ斉藤。まだ喋る余裕がある宇水も凄いけど。

しかし、なんとなく熊本弁だと、斎藤の辛辣な言葉が緩和されている気がします。……気がしません?

本当はこの後の「無論死ぬまで」がセットなのですが、そこは熊本弁ナイズしても変わらない気がするので省略。

まとめ

いかがでしょうか。そういえば人斬り抜刀斎のモデルとされる人物は熊本出身らしいので、熊本弁の剣心というのもあながち間違いではないんじゃないだろうか。

名言の多い「るろうに剣心」、今後もいくつか紹介していきたいと思います。